これは上浦の住人の方からお借りした昭和29(1954)年の四浦半島奥地の大浜海岸の風景です。
下の先頭の写真が近い角度からの現在の風景です。沖合の島は津久見市の保戸島です。
上の写真にない防波堤が出来たのは、昭和45(1970)年から48年にかけての工事で、その当時の写真も拝見しました。
遠い昔の写真を見て、当時の暮らしに思いを馳せることは大切です。現在より家屋が多いのと、防風林の松林があったこと。山あいは開墾されて田畑を営み、半農半漁の家が大半であったと説明文が添えられていました。これをお借りしたのは、今も大浜に住む河野由紀子さんからで、ご主人のお父さん河野昭俊さんが、「大浜の今昔」という戦後から平成初期に写された写真が残されていました。
「道ができ、観光客が夏に押し寄せ(1970年)、自慢の松林がマツクイムシにやられ(1973年)、護岸と漁港が完成したが高齢化が進み、思ったような漁業進出ができなかった(1979年)」と非常に分かりやすい半世紀の物語が記載されていました。
また冊子に挟まれた書簡には、平成9(1997)年に廃校になった最勝海小学校の社会授業のお礼も残されており、歴史を感じさせます。
ところで、現在の大浜は世帯も住人も減りましたが、シークレットビーチのような海が人気で、釣りやレジャーで訪れる人は今も絶えません。近年は津久見側からドライブで訪れる他県ナンバーの車両と、上の道ですれ違いますが、その下にはこんな物語があるのです。
一枚の写真から遠い故郷への思いや、初めての関心を持っていただければ幸いです。ここには未来の物語があると信じています。
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